支払い不能状態と知っていて更に債務を負う
美容関連事業を行うミュゼプラチナムの債権者が破産申し立て手続きの準備を進めているという報道があった。
美容関係の前払い料金システムを導入していながら資金繰りに窮してしまう背景は、杜撰な経営なのか資金流用するために分かっていてやっている意図的なものか、適当な経営を見せつけられて会社自体が普通でなくなってしまったのかは分からないけれど、この手の報道をみると、日本の債権者はなかなか厳しいと感じることがある。
企業買収や融資の機会に表面的に聞いたことがある程度ではあるものの、会社が支払い不能状況に陥いると分かった瞬間から、その会社の取締役にはその状況を回避する義務が生じ、また、その状態から更に債務が増加する取引を行うことは、のちのち、刑事・民事の双方で罰や制裁を課される会社法がある国もある。前触れなく(あるはずないか)、そんなに急に倒産手続きを取締役に開始されても困ると思う債権者もいるかもしれないが、会社としての債務を増やさない(追加の債権者を増やしたり既存の債権者の金額を増やさない)動機付けをさせるルールに良い点があることも確かだと思う。
ミュゼプラチナムの経営者に悪意やこうなることが予見された事実があるのか判らないけれど、前払い制なのに債権者が泣きを見る状況に陥ってしまうことと、それが許される(本件では、今日の時点では取締役が許されることになるかどうかはまだ判らないが)ルールになっているのは何だかなと感じている。
あと、本件とは直接に関係ないが、お金の貸し借りということになると、企業間でも個人間でも、貸借が発生するまでは貸し手側が条件提示において主導権を握って交渉が可能であるが、いったんそれが実行されてしまうと、借りた方が一方的に強くなってしまうというのは、古今東西、いつの世でも正しい認識なのではないかと個人的には思っている。詐欺的な場合は例外としても、返せないものは返せないので、どうしても債務者の状況に合わせて解決策を見出してゆかざるをえない。貸したものの弱み。