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Flirt – 文化が判って理解できる英単語

Flirt – 文化が判って理解できる英単語

以前にヨーロッパで仕事をしていた時のはなし。

異性の同僚の中の一人に、感じの良い関係の人がいた。
そんな関係がしばらく続いたのちのある日、いつもゴメンね、あたなとflirtingを楽しんでいるの、目に余るようなら言ってね、というような趣旨のことをその人から言われた(正確には、受信したメールに書いてあった)。

当時に使っていた英和辞書には、たしか、「戯れる」とか「いちゃつく」とかといった感じの訳語がflirtにあてがわれていた記憶があるが、とにかく、しっくりくる訳語に出会えなくて、言われたことを理解できなかったことをはっきりと覚えている。

その後、ヨーロッパでの仕事に一区切りつき、もう同僚でもなくなってその人のことも忘れかけていた時に、中野香織さん(*)の「モードの方程式」という日経新聞のコラムがflirtという言葉について紹介していた。そこには、恋愛の代替にはならないアートで、腕も磨けば人生に楽しみを与える社交技術というような説明が書いてあった。

こちらは日本人なので、そんなアートに馴染みも概念もないのだが、何となく記事の説明でその単語を心で理解した感じがしたのを覚えている。ヨーロッパにいた当時は、仕事に強い充実を感じていたことも影響してか、いろいろなことが色濃く記憶に留まっていて、Flirtという英単語もその一部にある。

学生時代の教科書だったと思うが、氷はイヌイットには重要な物質なので、いろいろな氷の状態を表す単語がそれぞれに存在するというような話があったのを記憶するが、それと似たような感じで、文化を知らないと理解できない単語や訳語にしてしまうと理解できない単語ってあるんだなと思ったのを思い出した。

トランプ2.0が始まった際に、トランプ大統領の第一期目の当時の安倍首相が果たした役割や築いた関係の重要性についてニュース報道で言われているけれど、皇后さまとメラニア夫人との関係などもトランプ大統領の日本を見る目に良い影響を与えていたとすれば嬉しいし、そういった、言葉を超越した文化的な流暢さって結構大事じゃないかと思う。

なぜか判らないが、flirtという言葉を思い出した。


(*)著作家/服飾史家/株式会社Kaori Nakano代表取締役(オフィシャル・ウェブ・サイトより)。中野さんのXには「ファッション知の一人コングロマリット」とある。

国境(欧州、かなり前。写真の当時、手前側の国はシェンゲン条約施行前、向こう側は施行済の国)