正しく名前を呼ばれない
大学に入学したてのオリエンテーションで、英語で自己紹介する場面があった。私には特別に強い思想はないのだけれど、私は日本人なのでと説明したのちに姓・名の順序で名乗った。これより以前に英語で自己紹介をしたのは、県内の学校を期間限定で回って英語指導するネイティブ先生がいた高校生の時以来、人生二度目くらいだったと思う。姓→名にしたのは、固有の名前だから私がいつも名乗るのと同じように言ってみたという軽い気持ちで、しかもその場で頭に浮かんだままに言っただけだった。
何年か前に、ローマ字表記の場合は姓・名の順序で記載が望ましいという国語審議会の答申があったが、私は先をいっていたのかもしれない(ただのあまのじゃく)。ただ、パスポートや航空券となると、不具合を防ぐことが第一なので、名・姓で書くことになんら躊躇も抵抗もないし、姓・名で名乗ったのは、今でもそのオリエンテーションの時だけ。
なぜこんなことを思い出したかといえば、私が勤める会社には、エスニック的に様々な人がいる。そうはいっても、名前の構成でいえば名・姓の順序の国のほうが多数派かと思うけれど、東アジアの人もいれば、名前の構成要素が4つ以上の人もいる。そういった私の同僚と、「名・姓」地域の社外の取引先がメールでやりとりするときに、社外の相手はファースト・ネームで呼んでいると思い込んでいるのに、全然そうでないというのが時折発生する。東アジアの人の名前であれば、基本は姓・名で違いは構成要素が2つ(日本人)か3つ(中国・韓国にルーツを持つ人)ということくらいだから順番の勘違いでシンプルだけれど、東南アジアやアフリカ(それとたまに欧州の人)の人には、いくつもの塊から名前が構成されている人がが殆どなので、どれで呼ぶのか正解なのかクイズ状態になることがある。そんなメールのやりとりの CC に私が入っている時には、そりゃ、間違えるよな、と思ったりする。私の場合は、社内の人であっても、初めてやりとりする場合には、近くのネイティブの人にどれで呼んだらよいかをこっそり訊いてからメールを出したりするくらいだから。
名前に限らず、自分の国・民族が名・姓だからといって、全員がそうだと決めつけるはよくないのにと思う。どうしても仕方無い時の私の解決法は、メールで改行しないといけないくらいに長い場合を除いて、名前を全て書くようにしている。
