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日: 2025年12月15日

報道 – 極端な例を注釈なく引用、意図的なのだろう

報道 – 極端な例を注釈なく引用、意図的なのだろう

私が身を置く業界の製品価格が報道に取り上げられることがたまにある。業界動向は昔から事実でない記事が多かったけれど、価格面については、市場価格情報プロバイダーが毎日・毎週の市況を伝える客観情報があるので嘘は付けず、割と実態にあった報道ぶりだった。ところが、今年になって米国が世界中の国に追加関税を発表して以後、一般紙は価格も意図的としか思えないミスリード記事を載せるようになった(トランプ大統領のせいで商品市況があがって由々しき事態だと印象付けるため?)。

価格が半年前の3倍になりました、とか。でも実際は、メイン市場では1割とか2割の上昇なのに、小さい市場で3倍になっているのをあたかも世界中で3倍になっているかのように報じていたりする。そんな報道ぶりにもやもや感を持ってなんだかなあと思っていたところ、最近になって初めて、「欧州市場価格」という説明つき記事を初めてみた。そう、たしかに欧州は急騰していたのだが、欧州需要はあまりない製品の業界なので、欧州価格を代表とみる業界の人は一切いない。経済に強いと言われる一般紙の商品担当者はそんなこと知っているはずだから、知っていてやっているパターンだろう。それまでは、3倍になっている欧州価格の折れ線グラフをなんの注釈もないままに、単に市況価格として報じていた。アジアや中国、アメリカでは価格が上昇していても二けたパーセントの上昇にとどまっているのに。

読者の興味を引くことができれば、内容はどうでもいいんだなあというのがはっきり伝わる良い例。
自分がよく知らない分野のことは、だまされないようにしないと。